今は無き「GLASS & ARCHITECTURE」は、旭硝子が建築設計者、研究者を対象として1964年から発行していた季刊誌である。私は30周年号にあたる94年夏号から最終号にあたる2003年春号まで編集企画者として関わった。つい最近まで旭硝子のホームページにリンクして、GAのホームページも存在し、バックナンバーの内容を知ることができたが、季刊誌の廃刊に伴って、どうやらホームページも削除されたようである。備忘のためにここに私の関わった号の目次を掲載しておく。
1994夏
ガラスと建築の30年[30周年増大特集]
GA創刊30周年は、フロート法によるガラス生産が始まってちょうど30年の年にもあたる。これまでの30年を振り返り、ガラスと建築がどう関わり、その構法をどう変えてきたか、また今後の可能性や課題を振り返る。
[インタビュー:内田祥哉]ガラスと建築の30年を振り返る 聞き手=大野勝彦、松村秀一
戦後建築の手法とガラス――ガラスという建築言語の30年史 布野修司
[座談会]戦後建築のガラス表現 内藤廣+難波和彦+野沢正光
ガラスと建築の30年・関係年表
世紀末・ガラス空間の夢 柏木博
素材としてのガラス――そのテクニカルアプローチを振り返る
1 ガラスと建築のテクニカルヒストリー 伊勢谷三郎+三浦武廣
2 熱割れを防ぐ 発地良一
3 風圧に抗して 井田全彦+高橋章夫
4 巨大ガラスのパイオニアーーグラスファサードの開発 高田貞行
5 環境と複層ガラス 松本猛
6 最新の建築CAE(計算機支援工学) 井田全彦
7 建築用先端ガラスの可能性 磯崎敏正
1994秋
DPG……ガラスによる新たなファサード
ガラスの点支持構法(DPG)が日本でも注目を集め、施工例が増えてきている。
エンジニアリングの分野から出てきた、革新的な建築表現であるDPGについて、
表現と技術あり方、最近の動向を紹介する。
[座談会]DPGと新たなガラス・ファサードの可能性 今川憲英+難波和彦+横田暉生
ガラスの点支持構法の原理と系譜 野城智也
エンジニアリングとデザインのポテンシャル 岡部憲明
DPG……ケース・スタディ(3題)
TEMPOINT(孔あき強化ガラスファサード構法)の開発 磯崎敏正+和久井智
インター・イントラ・スペースデザイン・セレクション ’93
1994冬
室内環境と住宅開口部
住宅にとって開口部はどのような意味を持つのだろうか?
住宅の高断熱・高気密化が進む今日、この基本的な問いに立ち返って自問してみてみる意味は大きい。
室内環境と住宅開口部の関係から今日の住宅のあり方を考える。
[座談会]「五感のデザイン」としての住宅開口部 清家清+小玉祐一郎
開くデザイン、閉じる技術――ヨーロッパのエコハウジングに見る開口部のデザイン 小玉祐一郎
習俗と幻術――居住のための開口部をめざして 野沢正光
北国の暮らしと住宅開口部――私の住宅設計の変遷を通して 圓山彬雄
日本の気候と住宅開口部の性能 鎌田紀彦
[連載]
夢を託されたガラスたち 1 歴史を綴るガラスーーー海運ビル/ファン・デル・メイ
下村純一
現代部品工房 1 断熱型木製サッシーーー札幌木工センター
現代工房研究会
1995春
建築ジャーナリズムの地平……建築メディア考現学
建築雑誌は良きにつけ、悪しきにつけ、建築の歩みと歩を共にしてきた。
社会の変動期と雑誌の創刊には少なからぬ関係がある。
建築メディアの戦後を振り返り、今後を展望する。
[対談]建築ジャーナリズムの戦後50年 平良敬一+布野修司
戦後建築雑誌年表 青井哲人+田中禎彦+黒川賢一
[Media Interview]
1住まいの知を集積する試み 植田実
2世界の中で、ローカルな日本の建築をとらえ直す 石堂威
3プリンテッド・シティ 鈴木明
建築――写真の共犯と離反 平木収
建築のメディア・パフォーミング 彦坂裕
[連載]
夢を託されたガラスたち 2 消滅するボディーーーファン・ネレ工場/フルーフト、他
下村純一
現代部品工房 2 PCカーテンウォールーーー(株)ダイワ
現代工房研究会
1995夏
現代日本のハウジングプロジェクト
戦後、日本の集合住宅は大量供給を最大の目的として、その建設が行われてきた。
確固とした集住の論理と供給システムを欠いたまま進んできた日本の集合住宅は、今、大きな転機を迎えている。
戦後日本の集合住宅の流れを概観し、今後のハウジング・プロジェクトの方向をさぐる。
[対談]戦後日本の集合住宅計画の流れと課題 大野勝彦+布野修司
ケース・スタディ(7題)/現代日本のハウジングプロジェクト
ケース1 近未来型実験住宅
立体街路を実現した画期的プロジェクト/NEXT21
ケース2 賃貸集合住宅と店舗の複合施設
都市をフレキシブルにプログラムする単位としての集合住宅/XYSTUS
ケース3 戸建て分譲住宅
生活する場としての意味が純化された住宅地/コモンシティ星田
ケース4 県営住宅建て替え計画
道・庭・家の関係を立体的に仕掛ける/熊本県営竜蛇平団地
ケース5 賃貸型コープ住宅
所有しない代わりに住み手の自由設計を実現/コミュニティコーポあるじゅ
ケース6 賃貸長屋型共同住宅
地域の環境構造を読むことで匿名性を解消/ひろO
ケース7 シルバーハウジング
地域に溶け込む高齢者住宅とケア施設/シルバーピア東堀切
[連載]
夢を託されたガラスたち 3 鉄を変えたガラスーーーフラン・スメトーフェルハ
下村純一
現代部品工房 3 メタルカーテンウォールーーー三協アルミニウム工業(株)
現代工房研究会
インター・イントラ・スペースデザイン・セレクション’94
1995秋
ストックとしての再生……戦後マスハウジングの現在
60年、70年代にかけて建設された、いわゆるマスハウジング期の集合住宅に、いかに手を加え現代的な住生活を支えるストックとしていくかは、これからの日本のハウジングにとって最も重要な課題である。
日本における住ストックの状況、再生の取り組みの一端を紹介し、さらにヨーロッパにおける先進的な取り組みの事例を紹介する。
私たちにとっての「戦後マスハウジング」 松村秀一
統計に見る戦後日本の住宅ストックの現状 東京大学松村研究室
高蔵寺ニュータウンにおける住環境改善 村上心+椙山女学園大学村上研究室
戦後マスハウジング期に建設された集合住宅の再生
1)アメリカ 修復・再生の活動が新規建設投資の75%に相当 スティーブ・ケンドール
2)ドイツ エコロジーの意識が助長する再生・修復の波 トマス・ボック
3)デンマーク 「悪のサークル」を絶つコンクリートリノベーションの新たなる模索 斉藤光代
4)フランス 公共住宅の半分が工事の対象、今は私有ストックの番 マルク・ブルディエ
5)イギリス 社会的な課題と結びついた「ノントラディショナル」の再生 菊地成朋
[連載]
夢を託されたガラスたち 4 テキスタイルを化すガラスーーーバルセロナ・パビリオン
下村純一
現代部品工房 4 ケーブルトラス接合金物ーーー川口金属工業(株)
1995冬
スペース・ストラクチュアの新たなる視点
ここ数年、関西国際空港旅客ターミナル、東京国際フォーラムと目を見張るスペース・ストラクチュアが国内に建設されている。戦後、日本のスペース・ストラクチュアは構法、素材、コンピュータによる設計支援といった建築を巡るテクノロジーの進展の中でどのような発展を遂げてきたのだろうか。
[座談会]戦後日本の空間構造 半谷裕彦+中田捷夫+岡部憲明
[年表]戦後日本のスペース・ストラクチュアの系譜 小見康夫+網野禎昭
スペースストラクチュアの視点――未来へのインキュベーターとして 網野禎昭
ケース・スタディ
1)大断面集成材を用いた3次曲線屋根ーーー森林総合活性化センター
2)竹で編まれた可展開形状のシェルーーー内住コミュニティーセンター
3)膜とケーブルを組み合わせたテンション・ドームーーー天城ドーム
4)鉄を多様に活かした構造システムで「鉄のデザイン」の復権を企てるーーー東京国際フォーラム・ガラスホール
[座談会]構造デザインとガラス――東京国際フォーラム・ガラスホールの構造デザインにふれて
渡辺邦夫+小見康夫+伊勢谷三郎+和久井智
[連載]
夢を託されたガラスたち 5 ガラスをめぐる冒険ーーーオルタ邸
下村純一
現代部品工房 5 打ち込みブリックーーー不二窯業(株)
現代工房研究会