年末になると、本箱からはみ出した本を眺めながら本の整理を考える。
高校時代からの本で死ぬまで棄てることはないだろうと思われる本が何冊かある。
そうした本は何度か読み直した過去の思い出と共にある本だ。
三木成夫の本もそのうちにある。
「過去に向かう遠いまなざしというのがある。人間だけに見られる表情であろう」という
まえがきの乗っけから引っ張り込まれた『胎児の世界』(中公新書)の衝撃は忘れられない。たしか最初に読んだのは、長女がかみさんのおなかにいるときだった。
生物の個体発生と系統発生をこの人ほど魅力的に、しかもすばらしい図版で語った人を知らない。
正月三が日は三木成夫の『ヒトのからだーー生物史的考察』(うぶすな書院)を読み直そうと考えている。